(´・ω・`)「どういうこと?」
彡(-)(-)「ターミネーター3、エイリアン3、ダークナイトライジング」
彡(゚)(゚)「挙げだしたらキリがないで」
彡(゚)(゚)「人気作の続編でも、3作目になるとダメになるんや」
(´・ω・`)「ダイハード3とか好きなんだけど」
(´・ω・`)「じゃあBTTFは? それにロードオブザリングとか」
彡(゚)(゚)「それらは、三部作やろ。人気が出たから続編を作ったってわけやない」
彡(-)(-)「そして、そこにこそ3がつまらなくなる理由がある」
(´・ω・`)「どういうこと?」
彡(゚)(゚)「3作目が作られる経緯にこそ問題があるとワイは考えとる」
彡(^)(^)「そして、その作風や登場人物を軸にスケールアップした2作目が作られる」
彡(●)(●) 「しかし、3作目になると逆に前作が足かせとなるんや」
彡(゚)(゚)「作風や、登場人物に縛られて新しい自由な発想が入り込む余地が少なくなる」
彡(゚)(゚)「結果として、前作をなぞっただけのつまらない映画が出来上がるんや」
彡(゚)(゚)「たたき上げの名作、洗練された2作目」
彡(゚)(^)「これはワイの持論なんや」
(´・ω・`)「まあ、糞映画ばかり作り続けてるお兄ちゃんが言えたことじゃないけどね」
彡(●)(●) 「なんやと!」
_, / と⌒ i |
(⌒ ー 一 r.、! 〉
ヽ弋 。 人 。 イ(` ー’
〔勿\ ヽ
) r⌒丶 )
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( く ! ||∥
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,__> ヽヽ从/
⊂⌒ヽ从/ つ´;ω;)
男は、映画監督であった。
だが、男の作る映画はまるで観客に供することを放棄した
独りよがりで酷く退屈なもので
時に「これは映画ですらない」と罵りをたまわるほどのものであった。
彡(゚)(゚)「なんでワイの映画は理解されないんや」
それは、男が望む良い映画と世間のそれに大きなズレがあったからだ。
彡(-)(-)「感動というものは、感情の振れ幅によって生まれる物なんや」
彡(゚)(゚)「ホラー映画で、静かなシーンから突如怪物が現れたらびっくりするやろ」
彡(゚)(゚)「悲劇の主人公が、最後に成功したらスカッとするやろ」
男は、その心の針の振れるベクトルに関係なく、ただただその振れ幅のみを追い求めた。
脚本、演出、役者の演技、その全てをそれに注ぎ込んだのだ。
結果、男の作る映画はまるでジェットコースターのように展開が空転し
歪でチグハグなものとなってしまうのである。
彡(゚)(゚)「ワイの映画が理解できないなんて」
彡(^)(^)「世の俗人共は、こんなにレベルが低いんか」
しかし男はそれを、孤高と解し愉悦に浸りさえした。
男は止まることを知らなかった。
飽くなき探求心で、己の映画がどうすればよい映画となるのかを模索し続けた。
彡(゚)(゚)「観客など知らん、売れ行きなど知らん、感動するのはたった一人でもええ」
彡(゚)(^)「ワイの作る物語で、いつか心の針を飛ばしてやる」
結果、大量の糞映画が生み出されるに至った。
ただ前に進むしかないと宣いつつ右斜め後方に這いずるような男であるが
ただ一点だけ人より秀でていることがあった。
それは、女運の良さである。
J( ‘ー`)し「ワイさん! 抱いて!」
ξ゚⊿゚)ξ「ワイさんの愛人でいいから隣にいさせて!」
どういうわけか、世の女どもが、ひと時も彼を放っておくことはなかった。
映画監督という職業柄も相まって、男は自身の映画に出演した女優と
懇ろな関係になることがしばしばあった。
しかし、そうは言っても男は売れない映画監督である。
収入は少なく、その不器用さから生活力も無いに等しい。
付け加えれば、男は女より映画を愛する男であった。
ξ゚⊿゚)ξ「くさいんじゃボケ!」
彡()()「ぐえー」
どんなに良い女であろうと、一方通行では愛は成り立たない。
女たちは、次第に彼の下を去っていった。
(o’ω’n)
その女は、男がよく通う弁当屋の娘であった。
整った顔立ちながら、能面のように表情が変わらず
また心内も静かで穏やかな女であった。
彡(゚)(゚)「なんや? いつもに増して辛気臭い顔やで」
(o’ω’n)「子供ができちゃった」
彡(゚)(゚)「あれだけヤればさもあらんな」
さすがの男も女を孕ませたとあっては放っておくわけにもいかない。
こうあっては、片膝をつき愛の言葉と指輪を贈るほかないと身を固める覚悟を決めた。
彡(゚)(゚)「日々の飯ですら、おんちゃんの僅かな収入に頼っているというのに」
彡(゚)(゚)「指輪など買えるわけがないやん」
彡(-)(-)「困ったで」
男は、最後の手段に打って出た。
近くの工場で拾ってきたナットを、映画の大道具から借りたグラインダーで
ひたすらに削ったのだ。
アルファベットの人みたい
女のことを思いながら、男はひたすらに火花を散らした。
彡(^)(^)「で、できたで!」
そうして、出来上がった歪な指輪をポケットに収め男は女の下を訪れた。
(o’ω’n)「う、うれしい!」
(o;ω;n)「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!! )」
彡()()「ヒエッ」
目じりが下がり、口角が上がり、目元と頬を赤くはらした。
日頃の能面とは打って変わって、くしゃくしゃになったその表情に男は大きく驚いた。
思えば、己から愛の言葉を囁いたことなどなかった。贈り物をしたことさえも。
その日、男は知ってしまった。人を涙が出るほど喜ばせることが
如何に簡単なことであるかを。
いまたった小さで歪な指輪と粗削りな愛の言葉だけで
こんなにも彼女のことを感動に打ち震えさせている。
彡(^)(^)「そうか、ワイは間違っとった!」
独りよがりな人生を送ってきた男にとってそれは契機となった。
人を感動させるのに、難解なストーリーや技巧にこった演出など不要なのだ。
ほんのわずかな、寄り添う心、誰かを喜ばせたいという奉仕の心。
ただそれだけで、人々の心は大きく動かされるものなのだ。
男は、大病を患い50を前にして死んだ。
男の死に顔は、とても満足したものであった。
黒澤明に憧れ、映画に、誰かを感動させることに全てを注いだ人生は
少なからず報われた。
確かに自身の組み立てた物語で人々を感動させ
激怒させ、悲哀に暮れさせることができていた。
男の葬式には、多くの女が訪れた。
J( ‘ー`)し ξ゚⊿゚)ξ (*゚ー゚)
そう男は知ってしまったのだ。
己が誰かを感動させることができる唯一の方法を。
集まった女たちの左手薬指には
皆、一様に金属部品を削って作られた歪な指輪がはめられていた。
おわり
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